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絶対的に欠けたものを抱えた生命の哀しき性-『哀しき獣』

新年早々、この作品のせいで切なさとやるせなさで打ちのめされそうになっております………。

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この年始、普段より多少時間ができたのをいいことに映画のDVD借りてきてひたすら観まくってます。そのなかでとりわけ余韻が残る1本について書き残しておくことにします。

本作『哀しき獣』は2011年公開の韓国映画でノワール・サスペンス&アクション映画ですね。朝鮮族と呼ばれる中国に住む朝鮮民族の主人公が、韓国に密入し、そこでさまざまなトラブルに巻き込まれ逃走劇を繰り広げるお話しです。

作品の構成としては全部で4章立てになっていて、
第一章:主人公の置かれている現状説明と殺人依頼による物語の幕開け
第二章:主人公が韓国に渡り、殺人を遂行するまでの計画段階から、遂行の瞬間に起きたハプニングによる最初の逃走まで
第三章:もういちいち説明するのもめんどくさくなるほど重厚でスケールの大きい逃走アクションとバイオレンスの連続
第四章:サスペンス筋の真相が明らかになり、アクションも文字どおりクライマックス、そしてエンディングへ
という構成。

第一章は定石といったつくりなんですが、第二章はサスペンス的なおもしろさと共に、準備を積み重ねていく主人公の描写によってなにか冒険の始まりのような徐々に期待が盛り上がっていく章でもあります。この章以降からエンディングに至るまでの約2時間は、ひたすら圧倒されっぱなしで釘づけになること間違いなしでしょう。何度も「うわぁぁぁぁ、もうダメだぁぁぁぁ!」とこっちの心が折れそうになるところからの驚異の粘りや、悪役のおっさんの無尽蔵の暴れまわりっぷりなど見どころは尽きません…。

なんですが、そうした見た目の画ヅラのスケール感とかプロット云々だけでなく、非常に根源的な独自の魅力がこの映画には宿っているんです。それは簡単に言ってしまえば、生命が絶対的に抱える切なさややるせなさみたいなもの。アクションやバイオレンス描写が多いけれど、それらが派手にエスカレートすればするほどに、むしろそうしたものが増していくのです。

自分がこの映画から感じたのはこういうことです。人がこの世に生を受けて生きていく、そこには何か絶対的に欠けたものが同居している。その、欠けたものを埋め合わせようとする、誰かに自分を受け入れてもらいたいという本能的な欲求、いわば生命の性(さが)がある。そしてそれはどこか切なくやるせない。

その至極個人的であり同時に普遍的でもある絶対的な性が起こす衝動が、交錯して連鎖してどんどん巨大な渦巻きのように様々なものを狂ったように飲み込みながら、破滅に向かっていくのがこの作品…。なので、もうとにかく切ない。こういうものが、ことばによる説明ではなく、作品全体を貫くどこかよるべなく儚い空気感によって醸成され立ち昇ってくるのがとにかく見事。

全然タイプは違うんだけど、同じ韓国映画の『冬の小鳥』も連想したりしました。『冬の小鳥』は孤児である幼い少女がどうしても自分を受け入れてもらいたいのにそれがかなわない境遇の中で、この世界がよるべない場所で、どうにもならないことがあるのだと悟る。そしてその時、少女は子どものままで大人になり、欠けたものを抱えながら別のモノでそれを埋めて生きていくことを決意する、という話し。

『哀しき獣』とは全く対照的で画ヅラもお話も非常に地味。登場人物は幼い少女たちが中心だし、そこまでたいした事件も起こらず淡々と進んでいく。アクションとバイオレンスが濃厚に繰り広げられる『哀しき獣』とパッと見全然似てなさそうにも思える。でも、生きているが故の本能的な苦しみを抱えつつも、覚悟を決めて生きていくのか?それとも破滅に向かうのか?その方向の違いだけで、やはり「欠けたものを抱えた生命の性」というものがこの2作品の根底には通奏低音として流れている気がします。

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ちなみに『哀しき獣』のほうも、劇中出てくる子どもはみんな女の子ばっかりなんですよ。そんなに多くはないけどお母さんと少女の2ショットが映るシーンが結構印象的なんです。主人公の娘にも、エンドロール後にそんな2ショットを予感させるシーンが差し込まれてるしね。このあたりにも何か生命の連なりみたいなもののメタファーを感じずにはいられなかったりするんですよね。

というわけで新年早々、切なさとやるせなさで胸一杯になってどうすんだ!?って話しなんですが、ふつうにエンタメとして最上級の作品だと思うのでぜひともご覧あれ。バイオレンスものがNGな人には向かないかもしれませんけど。
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