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『喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」』 小説は事実よりリアリティなり

日本にいながら、混沌とする異文化のことに想いを巡らせ、それゆえに日本人としてのアイデンティティを強烈に意識せざるを得なくなる、久々に「リアリティ」を感じさせてくれる一冊。

喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 (文春文庫)喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 (文春文庫)
(2004/01)
M.K.シャルマ

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本書を手に取ったきっかけは小島慶子キラ☆キラで、水曜パーソナリティの宇多丸さんが紹介してたのを聴いたことです。(podcastはこちら

カレーライスはご飯とルーをぐちゃぐちゃに混ぜて食べたいし、できれば味噌汁や汁ものとご飯も混ぜて食べたほうが絶対ウマいと常々思っているのですが、宇多丸さんの紹介によると「食事の際にインド人はなにもかもを混ぜ、日本人は混ぜることをよしとせず並べて食べる」というようなことが書かれているというので非常に興味をそそられたわけです。

まぁいわば周囲の人から行儀悪いという目で見られるので欲求を抑えてる自分の後ろ盾をここに求めて読んだわけです。そしたらそんなことどうでもよくなるぐらい相当深い内容で、興奮のまま一気読み!

筆者のシャルマさんはかなりインテリジェンスなエリート・ビジネスマン。それでいて異文化に対するバランス感覚とそれを自らに取り入れようとする柔軟性、そして感じ取った文化の相違とその背景を掘り下げていく洞察力がすさまじい。われわれ日本人が普段気にも留めないような小さな癖や習慣を、日本の歴史どころかそれこそ宗教や死生観にまで落としこんで本質的な洞察をされています。インド人からみた日本人の滑稽なところと、逆に普段気がつかないぐらい当たり前に行っている習慣が、いかに日本人特有の美徳や気配りに基づいた素晴らしきものなのかを改めて気付かせられます。

当然逆に日本人のよくない部分、浅薄さに関する洞察はかなり自分にも思い当たるところがあり耳が痛い…。でも本質を突いていると感じるからこそ異文化に触れて、自分の国を見つめ直すということの貴重さを感じるわけです。

このあたりの日本や日本人の問題点に関するところは引用すべき部分がたくさんありすぎて選べないので、是非本書を手にとって確認して頂きたいところです。



と、ここまで書いてきて、実はこの本、題名でググッてみると、筆者のインド人・シャルマさんという人物は存在せず、訳者の山田さんがインド人体験記を装って、全て自分で書いたものであるという風評が立っているのです!

で、実際読んでみた感触からしても、読んでいる最中に違和感を感じてましたしまぁまずそれで間違いないだろうなぁというのが正直なところです。出版社や訳者の方からは特にこれに関しての明言はないので真相は今はまだ闇の中ですが、それだけになおさらでしょ。

で、自分はむしろこのことを知ってなんだそりゃと興ざめしてしまうどころか、むしろそう来たか~!と思わずニンマリしてしまいましたよ!

だってこの本がノン・フィクションかフィクションかなんてことはどうでもいいんですよ。書いてある出来事の信憑性がどうこうも興味なし。

大切なのは読んだ本人がこれは自分にとって真実だ!とリアリティを感じられるかどうか。これが全てです。その意味で言えばこの本は自分にとってはヘタな体験記よりよっぽどリアリティが感じられる。冒頭に「リアリティ」云々といったのはそういうこと。


インド人が書いた体験記の形をとって、インドと日本の文化の相違と、それゆえに浮かび上がってくる人間の文化を超えて共通する通奏低音のような本質を緻密な文章で書ききる筆者(訳者)の巧みな表現力たるや、もう完全に圧倒されるばかりですよ。そのほうが体験記として見たままを綴るよりも何百倍も難しいのに、それを見事に形にしてしまうことの凄まじさを感じずにはいられませんね。

言ってしまえばサーベルを振り回し子どもにすら襲いかかるインドの狂虎・タイガージェット・シン。あの人が実は普段はインテリジェントな紳士で、筋書きによって演出されたキャラクターにすぎなかったとしても、あれを見てリアリティを感じ、ついシンに対峙するアントニオ猪木に己を重ね合わせて感情移入してしまった人、たくさんいるでしょ?そういうことですよ。………ってインド繋がりなだけであまり説明になってない…?

ようは筆者が感じた日本とインドの文化間にまつわる豊饒な人間社会文化論を体験記によって巧みにメタファーした小説で、それゆえに混沌としていながらもスパイスに富んだ重層的な一冊。ぜひお試しを。

喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 (文春文庫)喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 (文春文庫)
(2004/01)
M.K.シャルマ

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筆者(訳者)のそのほかの作品↓
インドの大道商人 (講談社文庫)インドの大道商人 (講談社文庫)
(1999/12)
山田 和

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インド大修行時代 (講談社文庫)インド大修行時代 (講談社文庫)
(2002/02)
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21世紀のインド人 カーストvs世界経済21世紀のインド人 カーストvs世界経済
(2004/04/15)
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