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『ヒトとサルのあいだ―精神(こころ)はいつ生まれたのか』吉田 脩二 「自明性」を救う教育を!


我々人間は、どこからやってきたのか?

その答えを探しに、人類7百万年の歴史を遡る旅に出かける一冊です。

そしてその旅で出会う新たな発見から、今度は

我々人間は、どこへ向かおうとしているのか?

について考えを深めることができる一冊でもあります。

ヒトとサルのあいだ―精神(こころ)はいつ生まれたのかヒトとサルのあいだ―精神(こころ)はいつ生まれたのか
(2008/02)
吉田 脩二

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内容としては「精神」とは何か?について筆者の考える「理論精神学」という概念を用いて述べているものです。

しかし「精神」の出生を知って終わり、ではありません。

「精神」に付随する、人間はもともとよきものを持っているという「自明性」と、「精神」が、どう「教育」に関わっているのか、今後の「教育」とはどうあるべきなのか?と、考えを巡らせることが重要です。

ここにこそ本書の本当の意義があるといえます。

といっても難しい話ではなく、専門外の素人でも分かるように噛み砕いていて、何度も振り返りながら読み手に寄り添うように「精神」の歴史の旅へと誘ってくれるのでとても読みやすい。


まず「精神」とは、外界からの情報とは無関係に物事を考えたり、自分の行動を注視しているもう一人の自分がいる、ということです。

この「精神」を持つにいたるのは、人間の胎児がチンパンジーの胎児よりも9か月早く、未成熟なまま生まれてくることから端を発するのです。

赤子の脳がだんだん肥大化するにつれて、お腹の中で成熟してからでは大きくなり過ぎて外界に出てくることができなくなったのです。それに伴って母子ともに生命の危機が訪れ、ひいては人類の絶滅の危機に瀕したわけです。そのため頭の大きさが子宮を通って出てこられる今の胎児の状態で外界に生まれ出てくるのです。

すると脳は未発達なままであり、このままでは死んでしまいます。そのため脳の神経細胞が自ら母との交信を切らない、母に向かう神経回路を活性化させることで生き延びたのです。

この、いわゆる母に向かう神経回路の「自動発火装置」こそが「精神」の始まりです。

「精神」は、自分は何でもできると思う感情である「全能感」によって発達していきます。

簡単に言ってしまえばこれまでの人類の歴史は、この巨大なエネルギーである「全能感」の精神活動によって形作られたものであるともいえます。

しかし「全能感」は時に自然を破壊し、集団同士の争いを生み出したりもするのです。

そして軍隊教育、スパルタ教育、無個性平等教育である学校教育、マニュアル教育。そんなものから人間がもともと持っていた「よきもの」、つまり同情や思いやり、いたわり、親密感などの人間らしさ。これを本書では「自明性」と呼んでいますが、これが失われていっているのです。

それが昨今の精神の病の増加や、自殺者の増加、いじめなど、我々の身近にある社会問題の発端ともなっているのです。

そして人を教育するということは「精神」に関わること。つまり、この「精神」の歴史を知ったうえで、「教育」はどうあるべきか?考える必要があると、読者に問いを残し、本書は幕を閉じます。

この問いかけに我々はどのような答えを出していけばいいのでしょうか。

ひとつ言えることは、こういった社会問題が著しい増加を見せている昨今の状況は、「精神」の観点から言えば、人間の「自明性」が軋みを生じて悲鳴を上げている状況にこそ原因があるのだとも言いかえられます。

だとすれば今一度、人間はよきものであるという「自明性」に立ち返る必要がありそうです。相手を尊重し、自分と相手を信頼する。一人一人が自分の「全能感」を、いかに自由な発想を持ち、多くの選択肢を持つための方向に結び付けられるか?という視点で考えるべきではないでしょうか。

具体的には「褒める」という言葉がキーワードのような気がしています。個々の「自明性」の表出を注意深く見守り、認めて、褒める。こんなことが自然とできるような「教育」。

個々の「精神」を相互に認め合い承認する。ことが我々の向かうべき未来ではないのかと、漠然とそんなことを想った一冊でした。

筆者の他著書↓
さよなら「いい子」―キレていく私たちさよなら「いい子」―キレていく私たち
(2000/10)
吉田 脩二

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若い人のための精神医学―よりよく生きるための人生論若い人のための精神医学―よりよく生きるための人生論
(1999/06)
吉田 脩二

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